合気道の歴史は意外に新しく、開祖・植芝盛平翁が大正末期から昭和初期にかけ完成させた武道です。
植芝盛平翁は、明治16年(1833年)、和歌山県西牟婁郡西ノ谷村(現・田辺市)に生まれました。
幼い頃は体が弱い一方で、武術に対する強い関心を持っていました。 古流柔術、剣術、槍術など
さまざまな武術を極め練磨に励む一方で、勝敗にこだわる武術修行のありかたに次第に疑問を抱くようになった開祖は、
「本来の武道とはいたずらに相手と争うものではなく、相手と調和し一体になるものである」
という自らの考えに基づき、大正11年(1922年)、自らの武術を「合気柔術」と呼ぶようになり、のち昭和17年(1942年)からは「合気道」と改めました。
その名前からも連想できるように、合気道では「心・技・体」がひとつになって初めて技が完成されるという、精神修養の結果生まれる強さがあります。
単に力で投げたり押さえつけたりするのではなく、自然(相手)に逆らわず、融和し一体となることが合気道の根本精神であり原則です。
合気道の稽古は、取り(技をかける側)と受け(それに応じて受身をとる側)の二人で行うのが基本で、取りと受けを互いに代わりながら行います。
技はたくさんありますが、一番大切なものは「呼吸力」です。 呼吸力とは、体の構造の理にかなった動きと意識(気)がひとつになることで生み出される力を言います。 つまり、心身ともに理にかなった動きをすれば力を使わなくても相手を制することができる、ということです。 稽古では、この呼吸力を中心に、当て身、体捌きなどを学びます。 技によって動きはさまざまですが、すべての基本は同じですので、ひとつの技を覚えることで色々な応用技を習得できます。 初心者のうちは同じ技や動きを繰り返し稽古するので退屈に思うかも知れませんが、基本をしっかり覚えることが、正しい技の習得はもちろん怪我の防止やバランスの良い体作りにもつながりますので、焦らずにじっくり取り組みましょう。
合気道が他の多くのスポーツと比べて最も異なる点は、試合や競技を行わないことです。 ひたすら稽古を積み重ね、技を修練していきます。
これは、すでにお話した開祖の考えによります。
勝敗で結果が出ないなら、稽古のやりがいが無いのでは?と疑問に思う人もいるかも知れません。
では、合気道の魅力は何でしょうか。
それは、稽古した分だけ技が上達する、今まで出来なかった技ができるようになるという点です。
他の人と比べて技が優れているとか劣っていると感じるのではなく、もっと稽古をすればもっと上手くなれるんだという意識が生まれます。
運動が苦手な人にとっては、勝敗にこだわるスポーツは抵抗があるでしょう。
練習についていけないのでは・・・と不安を感じるかも知れません。
合気道では子供からお年寄りまで、初心者も高段者も一緒に稽古をしますので、基本技から応用技までじっくり行います。
性別も年齢も体格もさまざまですから、相手によって受身を取りやすいように投げたり、自分の受身の取り方を変えてみたりと毎回新しい発見があると思います。
今日よりも明日の自分が少しでも上達しているように、稽古に励むことが大切です。
稽古した分だけ必ず成果として身につきますので、無理をせず自分のペースで楽しく続けていきましょう。